サンサンワイナリー

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18年の秋、10月11月と店の休日を全て充てて東御市や塩尻のワイナリー様を訪ねてまいりました。老舗大手から新興ワイナリーまで、どこも魅力に溢れていましたが、塩尻インターを降りて市立自然博物館に併設の道の駅で一休み、さて口コミでも評判が良かったレストラン併設のワイナリーがあるとの事で、伺ってみました。国道20号線中山道の山道、大きめのカーブを曲がった先に突然看板が登場。おっとっととばかりに駐車場に入り、止めた車の先に広がる畑を見たとき、心が震えました。目に入る全てが美しい。素晴らしいワインを造られているワイナリー様の畑は総じて綺麗と表現出来るのですが、ここは何故か「美しい」という言葉が浮かんできました。

これは期待出来るかも。ショップに入る前から何か違う予感が。まだ立ち上がったばかりのワイナリー様なので施設も新しく綺麗なのは当たり前かもしれませんが、いや、ショップ内の雰囲気、整然と並ぶワインもその色合いもとにかく「美しい」。スタッフの皆さんの笑顔も然り。そこにゼネラルマネージャーの戸川 英夫様がいらっしゃいました。試飲のカウンターで穏やかに説明される戸川様。グラスに注がれたワインの美しさに期待が高まります。そして一口。!その瞬間不躾にも酒屋であることを話し、お取引は出来ますか?と聞いていました。


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-ブドウ-

サンサンワイナリー様は柿沢地区という塩尻峠(塩尻と岡谷の境)にあり、ワイナリーから下方に広がる自社畑の標高は斜面の高低差20m以上、最も高いところで864mの位置にあります。「サンサンヴィンヤード柿沢」 と名づけられたワイナリー隣接の自社ぶどう畑は、もともと松本営林署塩尻種苗事業所の苗畑があったところ。 広さおよそ2ヘクタール、ゆるやかに傾斜した西向き斜面の畑に降りてみると、常に爽やかな風が畑の中を通り過ぎて行きます。日は燦燦と降り注ぎ、景色を眺めながらいつまでもその場に立っていたい誘惑にかられます。

栽培品種はシャルドネ、メルロ、シラー他、契約栽培の畑ではナイアガラやコンコード等があります。特にワイナリーの眼下に広がる畑のメルロはA区画とB区画の斜面の高低差が20mほどなのに、出来上がるワインは驚くほど違います。まさにテロワールが豊かに表現されているワインです。


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-今、とこれからのワイン造り-

もともと今の畑は松本営林署塩尻種苗事業所の苗畑があったところ。ゼネラルマネージャーの戸川様は大学卒業後、キッコーマンに入社。マンズワインの工場長を勤め上げ、定年退職後は山辺ワイナリーの製造顧問や安曇 野ワイナリーの工場長などを歴任し、長野県産ワインの礎を築きます。そして70歳を目前にして、いよいよ引退を考えていた矢先に、サンサンワイナリー立ち上げに際して声がかかります。

戸川さんは「ロケーションを含め、ワイン造り最終章にふさわしいと思いました」と、当時の心象を語ります。当時は850mの高地に葡萄栽培は向かないと言われていましたが、高山村もそうですが、近年素晴らしいワイン葡萄産地としてこの柿沢地区も大注目だと思います。高地の葡萄はしっかりとした骨格の酸が特徴として感じられます。さらにこのヴィンヤード柿沢の葡萄は糖度が高く、糖度調整の必要が無いそうです。こちらのワインを表現する際、まず浮かぶのは「美しさ」。香り、そして色、味わいまでも透明感があって美しい。正しく畑に降りた際に感じた素晴らしい景観そのものでした。美しい自然と環境の信州からまた素晴らしいワインが誕生しました。印象はどれも王道そのもの。設備は新しくとも品種ごとのブドウの個性をしっかり保ち、「あぁ美味しいメルロってこうだよね。上質なシャルドネってこれだね」とあらためて納得してしまう味わいがあります。

価格もリーズナブルで満足感も高いと思います。新しいリリースが待ち遠しいワイナリー様です。