齋彌酒造

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もう20年近く参加している勉強会には毎回テーマ(お酒の種類や、酒器の違い、温度帯を変えての味わいの変化等)を決めて利き酒の時間が設けられます。ラベルを隠し、吟醸、純米などの酒類は勿論、どこの蔵元様かも分からない状態で利くのですが、先入観が無い分シビアです。全国でも有名なお酒でも結構評価が低かったりする割合が多い中、思いがけず良酒に巡り合う事もあります。それがこの齋彌酒造様の「雪の茅舎」でした。

もう5年以上前になるかもしれませんが、口に含んだ時の印象は未だに覚えております。正に衝撃!と言えるくらい、「あっ、旨っ」って思わず声に出していました。さらに驚いたのは、造りが「山廃仕込み」だった事。今では山廃も洗練されたお酒が結構ありますが、当時の私はあの香りと多めの酸、クセのある味わいが苦手で、お店の商品にも殆ど並べておりませんでした。嗜好が強い分、贈り物にもお勧めしづらい印象がありました。山廃でしかも純米。それなのに、穏やかな含み香も綺麗でまろやかなアタック。豊かな旨味。完全にやられてしまいました。香りも味わいの中にもオフフレーバー的なものが無いんですよね。素直に美味しい。あらためて、「これが山廃?」と私の中の概念を見事に覆していただいた恩人です。

齋彌酒造様は秋田県秋田市の南、山形県とも堺を接し鳥海山の北側、以前は日本海の物流拠点として繁栄した由利本荘市中心にあります。明治三十五年創業のお蔵は建物の意匠も明治の西洋風で国の有形登録文化財とされており、当時は「由利正宗」として、現在は「雪の茅舎」がメインブランドとなっております。蔵を訪れた作家が雪を纏った茅葺の家をイメージされて名付けられたのだとか。造り蔵は高低差6mの傾斜地にあり、造りの工程をその流れに沿うように作られているため「のぼり蔵」の愛称があります。


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-米-

主に使われるお米は「山田錦」と農家でもある蔵人が作る「秋田酒こまち」。追肥をして収量を増やす事は雑味の原因の余分な脂質やたんぱく質を増やしてしまうので、極力使わないよう契約農家さんにもお願いしているとのこと。お米に対する要求も高いです。華やかな香りや上品な旨味は麹に山田錦を使用している事も大きいのでは。健全な酒米をさらに高精白に磨きます。お米を知り尽くした農家さんが蔵人ですから、お酒の仕上がりまで計算出来るのでしょうね。


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-水-

仕込み水に使われる水はお蔵の敷地内より豊富に湧き出る鳥海山水系の湧き水です。柔らかな女 酒と言われる京都伏見の水は軟水ですが、こちらはミネラル分を多く含む硬水。通常硬水を使用したお酒は男酒と言われて、酸のある辛口で押し出しが強い味が多いのですが、雪の茅舎の柔らかさは米洗いにありました。

硬水は養分が多い分発酵が強く、醸造期間が短いのが特徴ですが、齋彌酒造様は通常1回の米洗いを3回行い、糠を徹底的に取り除く仕込をしています。米の余分な養分を取りきる事で緩やかな発酵を促し、荒々しさとは無縁のまろやかにふくらむ味わいを生み出しています。


-今、そしてこれからの酒造り-

雪の茅舎の酵母は自家培養した独自酵母を使用しているため、毎年酒質の再現性が安定して得ら れています。それも麹室をアルコール消毒する事もなく、丁寧な清掃を心掛けることでいわゆる蔵付き酵母を守っているのかもしれません。そうして良質な麹を造ってからがこのお蔵の真骨頂が始まります。これまでの造りの常識を変えた「三ない造り」です。特に発酵時にタンクの中身に「櫂入れをしない」事はその前の仕事の精度が高くなければ出来ない事です。

さらに、搾ったお酒に一切手を加えず、「濾過をしない」。発酵を進めてアルコール度数をあげ、水を加えて調整する「割り水をしない」。この「三ない」を徹底しております。目指すお酒のイメージを余計な手間や加工をせずに真っ直ぐに造りあげる。今年春、NHKのプロフェッショナルで紹介された伝説の杜氏「高橋藤一」氏の技が光ります。コンクール受賞は秋田のお蔵では一番でありながら、毎年のチャレンジは続いています。新酒の季節になると、今年はどんなお酒が生まれるのか楽しみでワクワクが止まりませんね。

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